シンガポールで有名なホテルであるマリーナベイサンズは、写真や実物を見ていただくとすぐに分かりますが、傾いているのは事実です。三つあるビルの上に長い船が乗っかっている、という特徴はよく知られているかもしれませんが、建物自体が傾くことに知らず驚く観光客もいるようです。
マリーナベイサンズの建設状況など調べてみると、ネット上で倒壊の噂や危険性についても問われているようですが、実際のところどうなのかまとめてみました。
2023年にマリーナベイサンズへ行ってきましたので、最新の写真もあわせて掲載いたします!
マリーナベイサンズは本当に傾いている【現地調査あり】
上の写真がマリーナベイサンズの外観です。当サイト・TabiTimesを運営しているもう一人のライター・Kyokoさんに撮ってもらったものですが、3つある建物の下部分が『入』のような形になっています。
2023年1月にもマリーナベイサンズへ行ってきましたので、傾きが分かる写真を追加で撮っておきました〜
遠くから見たマリーナベイサンズ
まずは距離を置いて見たマリーナベイサンズですが、微妙な傾きが確認できます。真ん中が少し折れ曲がっているように見えますね。
写真右下の人物は自分です。初めてリアルマリーナベイサンズを見られてウキウキしてます。
斜めからの写真だと、建物の下部分が曲がっているように傾いているのがよりハッキリします。
こちらの写真は2023年の1月に撮影したもので、年末年始に東南アジア旅行へ行ってまいりました。関連記事より東南アジア旅行で必要な持ち物でも紹介していますが、YouTubeチャンネルでも動画で海外旅行の様子をお伝えしています。旅行好きの方はぜひご覧くださいませ。
あまり動画更新できていない時期もありますが、2023年後半からは頑張りますので(言い訳)
近くから見たマリーナベイサンズ
近くで確認すると、マリーナベイサンズの傾きがより分かります。以下でも説明していますが、傾斜角52度で設定された建物なので、真っ直ぐ建っている普通のビルとはやはり違いますね。
間近で改めて眺めてみると、マリーナベイサンズって本当すごい建築物ですよね。屋上に乗っかっている船も思った以上に長く、絶妙なバランス〜
参考:傾いているマリーナベイサンズとマーライオン
マリーナベイサンズのあるエリアでは、上写真にあるマーライオンも有名な観光スポットです。画角を調整すれば、マリーナベイサンズとマーライオンの両方をいい感じに映すこともできます。
新年に行きましたが時期的に人が多く、とても賑わっていました。関連記事でもマーライオンの高さ・大きさなど解説していますので、あわせてご参考ください。
マリーナベイサンズの傾きに関する基本的な情報
現地の写真撮影・調査からでも、マリーナベイサンズが傾いていることはよく分かりましたが、設計に関する基本的な情報やゼネコンの事情なども調べてみました。
傾きは最大52度|建築家であるモシェ・サフディの風水的な意図
マリーナベイサンズは高さ200m、57階建ていった高層ビルですが、これだけ大きな建物がなんと傾斜角52度で建築されました。
傾く建物で比較すると、有名な建造物・ピサの斜塔が挙げられます。ピサの斜塔も目に見えて傾いていることが分かりますが、それでも傾斜角は5.5度です。
つまり、マリーナベイサンズはピサの斜塔の10倍近く傾いているといえます。これだけ大きな建造物をよく造れるなと感じてしまいます。
上記でも紹介しましたがこちらの写真でも見ると、改めてその凄さがわかります。かなり傾いているというより、ぐにゃりと曲がっていますね。
このような設計にした建築家のモシェ・サフディ氏は、エネルギーバランスと環境との調和に影響する風水を基に、『入』のような形にしたとのことです。モシェ・サフディ氏が携わった設計・建築物は独創的なものが多く、マリーナベイサンズもその一つです。
設計がかなり困難で大手ゼネコンも辞退
ただ、こんなにも傾いている大規模な建物を簡単に造れるはずがありません。建築前では日本の清水建設やフランスのVINCIなど、大手ゼネコンでも安全面の保障が難しく、入札を辞退したとのことです。
その中で工事の受注をしたのは、韓国の双竜(サンヨン)建設です。困難な設計を引き受けただけでなく、本来の適正工期で5年近くかかるところを、約2年半(27ヵ月)で建て終えました。
重慶版マリーナベイサンズも2019年に開業
シンガポールのほか、中国の重慶市にもマリーナベイサンズを真似た複合商業施設が2019年に開業しています。重慶版のマリーナベイサンズは『ラッフルズシティ重慶』という名称ですが、8棟の高層ビルが建ち、そのうち4棟の上にマリーナベイサンズのような船が乗せられています。
ラッフルズシティ重慶はショッピングモールやオフィス、住宅のほかホテルなど幅広い機能が揃った大型複合施設です。地下鉄やフェリーターミナル、バスターミナルなども直結するようで、アクセスはバッチリですね。
写真で見る限り、ラッフルズシティ重慶はマリーナベイサンズのように傾く設計ではありませんね。ただ、船が乗るのはたとえ真っ直ぐな建物でも、かなりの技術が必要だと思われます。
倒壊の噂が出ているのは建設した韓国のゼネコンが影響
ネット上でマリーナベイサンズが倒壊するのでは…という噂が出ているのは、実際に傾いている建物の設計だけでなく、韓国のゼネコン評判が関係しています。
よくネット上では『倒壊の危険』とも言われていますが、実際のところ設計や構造はしっかりしており問題なくマリナーベイサンズを利用できます。
韓国ゼネコンが携わった建造物で事故が多発
今回のマリーナベイサンズに限らず、韓国のゼネコンでは大規模な建築で、予定工期よりも早く工事を終わらせる傾向にあります。
その理由としては、短期の施工により追加報酬(インセンティブ)を得る、ゼネコン側の目的があります。実際、マリーナベイサンズで双竜建設は追加で数十億円程度のインセンティブを受取りました。
ただ、かなり無理な工事計画なので、韓国ゼネコンが関与している建物で崩壊事故が多発しているのも事実です。やはり、危険性という問題が浮き彫りになっています。
双竜建設も過去に事故を起こしている
双竜建設も同じく、過去の崩落事故に関わっています。
インドネシアの首都・ジャカルタにある証券取引所ビルの中2階部分が崩落した事故が2018年1月に発生しましたが、こちらの証券取引所は双竜建設が施工したものです。
このような不安な前例があるため、双竜建設が建てたマリーナベイサンズも倒壊するのでは…または、その前に取り壊しになってしまうのでは…と、懸念の声が広がっているのでしょう。
また、マリーナベイサンズは2009年に完工しましたが、その約5年後の2014年に双竜建設が倒産してしまいました。これも双竜建設に限らず、韓国のゼネコン全体で倒産が相次ぎ、業界的に縮小の傾向にあります。
それでもマリーナベイサンズの安全性は充分!
倒壊の噂があるのは個人的な所感ですが、単純にマリーナベイサンズの傾き=安全上の問題がある!といったイメージで言われているのではないかと察します。
ですが、以下の通りマリーナベイサンズは安全性だけでなく、環境配慮に関するシステムもしっかり対策されています。
- 強風対策でプールの真下に4つの可動ジョイントを設置
- 建物の下にも500台のジョッキを設置(建物自体の重さによる地面沈下・傾きを防止)
- 雨水を利用した冷却システム・運動エネルギーを再利用できるエレベーターを導入
多種多様な建築技術・環境配慮の対策がマリーナベイサンズではされており、徹底した建築設計のもとで開業できたことで、シンガポールの最大規模的な観光名所になったのかもしれませんね!
傾いているマリーナベイサンズに行くべき理由・魅力
建物が傾いていたり、携わったゼネコンが過去の崩壊事故に関わっているネガティブな情報もありますが、『マリーナベイサンズに行くのはやめよう』という気持ちにはなりません、というのが本音です。
実際に2017年のシンガポール旅行にてマリーナベイサンズで宿泊したKyokoさんも、凄く満足されていました。
写真もいろいろ見せてもらいましたが、一番の魅力は屋上にあるインフィニティプールです。絶景は昼間だけでなく夜景でも楽しめます。詳しくは『マリーナベイサンズの宿泊レビュー』の記事でも紹介しているので、こちらもぜひご覧ください!
ほかにもマリーナベイサンズのおすすめポイントとして、
- 大型ショッピングモールでたくさん買い物できる
- ベネツィアみたいな雰囲気(水路)がいい
- フードコートで比較的安く食事できる
- ホテルのカードキーがあれば無料で展望台へ行ける
など様々な楽しみ方ができるので、シンガポール旅行でマリーナベイサンズに行く価値は充分にあるでしょう!
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